top of page

第2回 片田舎凡芸術協会展

​神尾篤史 / KAMIO Atsushi

紙、コピー用紙、ダンボール、100円ショップの額

 地方在住者として常に頭にある事、それは「東京」である。その中央はいつでも圧倒的な引力で私を誘って来る。中央と周縁の関係の、周縁側であること。悔しい。何とかならないのか。このiPhoneの見せる景色は皆、東京のものだ。もちろん嫉妬する。「地方」の私は「東京」を内面化する。言うには、ローカル(地方)が抵抗軍になりえるらしい。そうは言っても身近に出せるのは市民美術展だけだ。あるものは限られる。YouTubeの自己啓発動画は上から目線で「井の中の蛙ではダメだ!上京しよう」と煽ってくる。マサラタウンのサトシはポケモンマスターを目指し、「マサラタウン(地元)にさよならバイバイ」し旅に出る。その癖もちろん反対側からは「人材の流出」「地方創生」が語られる。「上京しよう」「地方からはじめよう」。この二つの狭間で、私の分裂は避けられない。「この未来の現代美術」を標榜する学校も東京にある。ここに通う度にお金が飛ぶ。帰りの新幹線(私はこれを1万円パワーと呼んでいる)での、あの屈辱、怒りと、静かな我が街に帰れる安心感。「東京は暮らす所じゃないよ」と言い聞かせるように言う度に自分の本心が分からなくなっていく。何なのか。少なくともわかっている事は、私は「東京」ではない事。敵なのか東京は。何なのか。東京を倒せば私はこの葛藤から解放されるのか。幸いにも生徒資格が、仮にも作品を置く場所があり、この場を使って表現をする権利を持っている。手始めに東京と反対の片田舎から、私が生まれ育ったここ福島市から、(流行りの)「アーティストコレクティブ」片田舎凡芸術協会、なる組織を結成し(1人しかいない)、今まで「東京」と「地方」の分裂の中作り溜めたゴミを東京に押しつけてみようと思う。そこに何が篭るのか、ここに第2回片田舎凡芸術協会展、を開催する。(第1回は10月28日から福島市まちなか交流スペースで開催された)

bottom of page